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50kWの土地付き太陽光を購入した翌年の1月に、市役所から「償却資産申告書」が届いて戸惑う、という相談は少なくありません。再エネ設備の固定資産税には減免(軽減)があり、しかも適用期限が延長されたと聞いたものの、自分の設備に本当に使えるのかがわからない、というケースです。
先に結論を書きます。投資用として多い固定価格買取制度(FIT/FIP=発電した電気を一定価格で買い取ってもらう制度)の認定を受けた太陽光は、固定資産税の課税標準特例(いわゆる減免)の対象外とされているのが原則です。特例の制度そのものは令和8年度以降の取得分へと更新(延長)されていますが、対象がペロブスカイト太陽電池などに絞られ、従来型のFIT太陽光は外れたままです。したがって投資判断では、償却資産税(標準税率1.4%)は毎年かかる前提で実質の利回りを見積もり、そのうえで毎年の申告を欠かさない、という二点を押さえるのが出発点になります。
太陽光の固定資産税は「償却資産」として毎年かかる

固定資産税は土地・家屋だけでなく、それ以外で「事業の用に供することができる資産」にもかかります。これを償却資産と呼び、事業用の太陽光発電設備(太陽電池モジュールやパワーコンディショナー)は、この償却資産として課税されます。標準税率は1.4%で、市町村は条例で異なる税率を定めることができます。課税するのは設備を置く市町村(東京23区は東京都)です。
ここで注意したいのは、償却資産税は取得した1回きりの税ではなく、設備を保有している間は毎年発生する点です。売電収入から差し引く年間費用の一つとして、O&M(保守)や廃棄費用の積立などと並んで継続的にかかります。売電の仕組みと、こうした費用を引いたあとに手元へ残る実質利回りの考え方は、太陽光投資とは(売電の仕組みと実質利回り)で全体像を確認できます。本記事はそのうち固定資産税に絞って掘り下げます。
なお、野立て(地上設置)の場合、設備そのものは償却資産、その敷地は土地としてそれぞれ別の区分で課税されます。土地・家屋は償却資産とは免税点も税率の扱いも別に管理されるため、「土地の固定資産税」と「設備の償却資産税」は分けて考える必要があります。
償却資産の申告はどう行うか(毎年必要)
償却資産は、市町村が自動で評価額を決めるのではなく、所有者からの申告に基づいて課税台帳に登録されます。賦課期日はその年度の初日の属する年の1月1日で、この時点で所有している償却資産を、設置している自治体へ申告します。申告期限は自治体ごとに定められているため、届いた申告書の案内で確認します。
申告は取得した初年度だけの手続きではありません。設備を保有している限り、増設や一部撤去がなくても毎年の申告が求められるのが基本です。1月1日を基準に所有状況を申告し、自治体が評価額(課税標準)を算定して税額が決まる、という流れを毎年繰り返します。連系(送配電網への接続)の時期によって初年度の扱いが変わるため、購入・稼働の年をまたぐ場合は取得時期を正確に伝えることが大切です。
太陽光の固定資産税「減免」は使えるのか、特例延長の実態

再エネ設備には、地方税法附則第15条にもとづく課税標準特例(新たに課税される年度から3年度分の課税標準を軽減する、いわゆる「わがまち特例」)があります。ただし太陽光については、経済産業省の固定価格買取制度の認定設備は対象外とされています(西宮市の案内)。つまり投資用として一般的なFIT/FIP認定の太陽光は、この減免の枠から外れているのが原則です。
「延長された」と語られるのは、この特例の適用期間が取得時期ごとに更新されている点を指します。もっとも、更新後は太陽光の対象が絞り込まれており、割合は自治体ページの引用として以下のとおりです。
| 取得時期 | 対象と軽減割合(自治体条例による) |
|---|---|
| 令和6年4月1日〜令和8年3月31日 | 温対法の認定地域脱炭素化促進事業計画等にもとづく一定設備。50kW以上1,000kW未満は課税標準を1/2、1,000kW以上は7/12(新規課税から3年度分)。FIT/FIP認定設備は対象外 |
| 令和8年4月1日〜令和11年3月31日 | 太陽光はペロブスカイト太陽電池(GI基金補助・FIT/FIP認定を除く)の1/2のみ |
この表のとおり、令和8年4月以降の取得分では太陽光の特例が事実上ペロブスカイトに限られ、結晶シリコンの通常パネルを使うFIT認定の投資用太陽光は引き続き対象外の見込みです。「減免が延長された」ことと「自分の投資用設備に減免が使える」ことは別問題である、と理解しておくと判断を誤りません。適用の可否や割合は自治体ごとに異なるため、詳細は設置する自治体に確認してください(西宮市 2026-01-26更新・那珂市 2026-04-01更新/2026年9月時点)。
償却資産税の税額をどう見積もるか(計算例)
税額は、取得価額そのものではなく、そこから減価した評価額(課税標準)に1.4%を掛けて求めます。評価額は法定耐用年数17年(機械及び装置に分類)にもとづき毎年下がっていき、取得初年度は半年分だけ減価するという考え方で計算されます。金額の目安をつかむために、地上設置50kWの費用を実績値で置いた明細が下記です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| システム費用(2025年設置・地上10kW以上の実績中央値) | 19.7万円/kW |
| 取得価額の目安(50kW) | 約985万円 |
| 標準税率 | 1.4% |
| 免税点(償却資産の合計評価額) | 150万円(令和9年度以後は180万円) |
| 法定耐用年数 | 17年(機械及び装置) |
税額の見方はシンプルです。たとえばある年度の評価額が800万円だったとすると、800万円×1.4%=11.2万円がその年の税額になります。評価額は年々下がるため税額も逓減し、保有する設備の合計評価額が免税点(150万円、令和9年度以後は180万円)を下回った年からは課税されません。逆に言えば、900万円台の取得価額から始まる50kW級の設備は、当初は毎年10万円前後の償却資産税が続く前提で採算を組む必要があります。実質利回りを計算するときは、この償却資産税を運転維持費や廃棄費用の積立と並べて年間費用に含めておくと、表面の数字とのズレを避けられます。
減免が使えるかの判断フロー

自分の設備で減免(課税標準特例)が使えるかは、次の順に確認すると整理できます。
- 設備はFIT/FIPの認定を受けているか。受けているなら、太陽光の課税標準特例は現行では原則対象外。償却資産税は評価額×1.4%の満額で見込む。
- 認定を受けておらず、温対法の認定計画等にもとづく一定の事業用設備か。該当しそうなら、取得時期に応じた軽減割合を設置自治体に確認する。
- 取得が令和8年4月1日以降か。その場合、太陽光の特例はペロブスカイトが中心で、通常の結晶シリコンパネルは対象外の見込み。
- 自宅屋根の余剰売電など家事用の設備か。事業用資産に当たらないため、そもそも償却資産の課税対象外となるのが原則。
投資用の新規案件は、2027年度から地上設置の新規FIT/FIP認定が原則停止となる流れのなかで、2026年度中の認定を前提とするか、中古(セカンダリー)を選ぶ形が中心になります。いずれの入り口でも、償却資産税は保有期間中かかり続ける費用である点は変わりません。案件ごとの費用条件や保証内容の確認から始めたい場合は、下記の相談窓口も選択肢になります。
よくある質問
太陽光の固定資産税はいくらかかりますか
償却資産の評価額に標準税率1.4%を掛けた額です。評価額は取得価額から法定耐用年数17年で毎年減価します。50kW級で取得価額900万円台なら、当初は毎年10万円前後が目安ですが、年々下がっていきます。
減免(特例)は延長されたと聞きましたが使えますか
特例の適用期間は令和8年4月1日〜令和11年3月31日取得分へと更新されていますが、太陽光の対象はペロブスカイト太陽電池が中心です。FIT/FIP認定の投資用太陽光は現行では原則対象外のため、多くの投資用設備では減免を前提にできません。可否は設置自治体に確認してください。
償却資産の申告はいつ、どこへ行いますか
賦課期日である毎年1月1日時点の所有資産を、設備を置く自治体(東京23区は東京都)へ申告します。自治体は申告にもとづいて課税台帳へ登録します。申告期限は自治体ごとに定められているため、届いた申告書で確認します。
免税点はいくらですか
償却資産は合計評価額150万円が免税点で、これ未満なら課税されません。令和9年度以後はこの免税点が180万円に引き上げられます。設備の評価額が下がって免税点を割り込んだ年からは償却資産税がかからなくなります。
自宅屋根に載せた場合も固定資産税はかかりますか
給与所得者が自宅に載せた家事用の余剰売電設備は、事業の用に供する資産に当たらないため、償却資産の課税対象外となるのが原則です。全量売電や事業として行う設備は事業用資産として課税対象になり得ます。
所得税の減価償却と償却資産税の評価は同じですか
耐用年数17年という考え方は共通しますが、所得税で必要経費に入れる減価償却と、固定資産税(償却資産)の評価額の計算は別の制度です。売電収入の確定申告と自治体への償却資産申告は、それぞれ別に行う手続きだと考えてください。
参考・出典
- 総務省「固定資産税の概要」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html
- 総務省「やさしい地方税 固定資産税」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_15.html
- 国税庁 質疑応答事例「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/44.htm
- 西宮市「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例」 https://www.nishi.or.jp/kurashi/shizei/shokyakushisan/saiseikano-tokurei.html
- 那珂市「固定資産税(償却資産)に係る課税標準の特例」 https://www.city.naka.lg.jp/kurashi-tetsuduki/shizei/koteishisan/page001360.html

