太陽光発電 デメリットしかない?|言われる理由を検証

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「太陽光発電 デメリットしかない」と検索窓に打ち込むのは、たいてい契約書にサインする一歩手前の人です。業者の説明では利回りが良さそうに見えるのに、ネットを開けば「後悔した」「デメリットのほうが多い」という声が並び、どちらを信じればよいのか判断がつかない。この記事は、そうした購入前の懐疑層に向けて、批判の中身を一次資料(国の公表資料や公式サイト)で一つずつ確かめ、事実として受け止めるべきデメリットと、古い情報や誤解が混じっているものを分けていきます。

先に結論を述べます。太陽光投資には確かに無視できないデメリットがあります。ただしその多くは「まったく儲からない」ではなく「昔ほど儲からず、手間と継続費用がかかる」という性質のものです。判断の基準は、批判の言葉に反応することではなく、買取単価・出力制御・継続費用という三つの事実を、自分が検討している物件の数字に当てはめ、最後に手元へ残る金額で見ることにあります。

「デメリットしかない」と語られる背景にあるもの

否定論の多くは、制度が全盛だった頃の記憶と、今の条件のギャップから生まれています。事業用太陽光(地上設置10kW以上)の買取単価は、制度が始まった2012年度の40円/kWhから年々下がり続け、2026年度は9.9円/kWh(地上10kW以上50kW未満のFIT調達価格・FIP基準価格、いずれも税抜)まで低下しました。FIT(固定価格買取制度=再エネ電気を国が定めた価格で一定期間買い取る仕組み)の単価が10年あまりで4分の1になったわけです。

「昔は儲かった」という体験談や、その頃の高い単価を前提にした試算がネット上にそのまま残っているため、今の単価で始める人が同じ利回りを期待して失望する。この単価差が、後悔の語りが尽きない一番の理由です。批判が的外れなのではなく、参照している時代が古いのです。まず自分が読んでいる情報が何年度の単価を前提にしているかを確認するだけで、誤解の半分は解けます。

事実として受け止めるべき三つのデメリット

買取単価の下落と2027年度の新規停止

単価が下がっただけでなく、制度そのものの入り口が狭まっています。事業用太陽光の地上設置区分は、2026年度の落札案件を除き、2027年度以降はFIT/FIP制度の新規認定の対象になりません(2026年度以前に認定済みの案件や2026年度落札案件のFIP移行は認められます)。つまり、地上設置の新規物件を国の買取制度で始められるのは実質的に2026年度中の認定が最後になります。これから土地付きの新規案件を検討している人にとっては、単価の低さ以上に重い条件です。以降は2026年度中に認定を取った物件か、中古(セカンダリー=すでに稼働している発電所を買い取る取引)を前提に考える必要があります。

出力制御は無補償が原則になっている

出力制御(送電網の需給が崩れそうなときに発電所の出力を一時的に止めること)も、条件が投資家に不利な方向へ変わりました。かつては年間30日(太陽光は360時間)を上限に無補償で応じる「30日等出力制御枠」でしたが、2021年4月以降は東京・中部・関西を含む全エリアで「無制限・無補償ルール」が適用されています。制御された分の売電収入は、原則として補償されません。さらに2022年4月からはオンライン代理制御(経済的出力制御)が導入され、対象範囲も旧ルール500kW未満まで広がっています。日射が強い春や秋の晴天日ほど制御がかかりやすく、想定発電量どおりに売電できないことがある。これは業者の楽観的なシミュレーションには反映されにくい、実在するデメリットです。

売電収入から差し引かれる継続費用

「利回り○%」という表示は、費用を引く前の表面利回り(年間売電収入÷物件価格)であることが多く、実際に手元へ残る実質利回り(年間売電収入から年間費用を引いた額÷物件価格)はそれより低くなります。年間費用には次のものがあります。

  • O&M(保守管理)費用の実績中央値は、地上設置でおよそ0.43万円/kW/年(10kW以上50kW未満は0.42万円/kW/年)です。
  • 廃棄等費用積立(設備を撤去する将来費用を発電中に積み立てる制度)として、2026年度認定の地上10kW以上50kW未満は0.60円/kWhが売電から差し引かれます。事業用太陽光では、買取義務者が買取費用から控除して納める外部積立てが原則です。
  • 償却資産税(固定資産税)は標準税率1.4%が毎年かかります。

こうした継続費用を差し引かずに表面利回りだけで判断すると、稼働後に「思ったより残らない」と感じます。売電の仕組みと、費用を引いたあとに手元へ残る利回りの考え方は太陽光投資の売電の仕組みと実質利回りで整理しています。

古い情報や誤解が混じっている批判

一方で、否定論には事実とずれた主張も少なくありません。よく見る批判を一次資料と突き合わせると、次のように分かれます。

よく見る批判 一次資料で見た実際
もう単価が安すぎて絶対に損をする 国の調達価格等算定委員会は、2026年度の地上10kW以上50kW未満の想定として設備利用率21.3%・運転年数25年で税引前IRR(内部収益率)4%を前提に単価を設定している。損失が前提ではなく、立地・費用しだいで収支は分かれる
パネルは撤去時に産業廃棄物として残るだけ 撤去費用は廃棄等費用積立制度で発電中に積み立てる仕組みが法制化されている。積立分は将来の解体・撤去に充てるため取り戻せる
災害や盗難ですぐ壊れて終わり 設備の事故は確かに増えており、特に盗難による保険金は2022年度が5年前の約20倍。ただしこれは「保険で備える前提」を示すデータで、対策の余地がある
すぐ発電量が落ちて使い物にならない 公的な劣化率の数値はないが、メーカーは25年で公称最大出力の80%未満を出力保証の対象とする例がある。緩やかな低下を前提に試算する

盗難のように「増えている」批判は事実です。ただしそれは「投資として成り立たない」ではなく「保険と防犯の設計を前提に考える」という結論に導く事実であって、諦める理由ではありません。事実と誤解を分ける鍵は、その批判が「制度・費用の話」なのか「対策で減らせるリスクの話」なのかを見極めることです。

後悔しないための判断フロー

批判を踏まえたうえで、自分にとってデメリットが上回るかどうかは、次の順で確かめると整理できます。

  1. その物件の認定年度は2026年度中か。地上設置の新規なら2027年度以降は国の制度で始められないため、2026年度認定か中古かをまず確認する。
  2. 提示された利回りは表面か実質か。O&M(0.42〜0.43万円/kW/年)・廃棄積立(0.60円/kWh)・償却資産税(1.4%)を引いた後の数字で見直す。
  3. 立地の出力制御リスクはどうか。無制限・無補償ルールが全エリアに及ぶ前提で、制御が多いエリアかを販売会社に確認する。
  4. 盗難・災害への保険と防犯が見積りに含まれているか。事故が増えている以上、費用に織り込む。
  5. 10kW以上50kW未満の地上設置は、地域活用要件(30%以上の自家消費と災害時の自立運転)がFIT新規認定の条件になる点も確認する。

この五つを自分の数字で埋めて、なお実質利回りが目標に届かないなら、その物件については「デメリットが上回る」で正解です。逆に埋めた結果が合うなら、ネットの後悔談はあなたの物件の結論ではありません。デメリットしかないかどうかは、言説ではなく物件ごとの数字が決めます。

よくある質問

本当に太陽光投資はデメリットのほうが多いのですか。

デメリットが増えたのは事実です。買取単価は2012年度の40円から2026年度は9.9円まで下がり、2027年度以降は地上設置の新規認定も原則停止します。ただし国の想定では税引前IRR4%を前提に単価が設計されており、損失が前提ではありません。物件の費用と立地しだいで結論は分かれます。

「後悔した」という体験談はどこまで参考になりますか。

何年度の単価を前提にしているかを確認してください。高単価時代の試算を今の物件に当てはめて失望している例が多く、参照する時代が違うと結論もずれます。制度・費用の前提が今と同じかを見てから読むことをおすすめします。

出力制御でどれくらい売電が減りますか。

減る割合はエリアと年により大きく変わり、公的に確定した一律の数値はありません。確実に言えるのは、2021年4月以降は全エリアで無制限・無補償ルールが原則で、制御された分は補償されないという点です。制御が多いエリアかを販売会社に確認したうえで、余裕を持った試算にしてください。

撤去のときにパネルの処分費で赤字になりませんか。

事業用太陽光(10kW以上)は廃棄等費用積立制度により、撤去費用を発電中に積み立てる仕組みが法律で定められています。2026年度認定の地上10kW以上50kW未満で0.60円/kWhが売電から差し引かれ、解体・撤去に充てる分は取り戻せます。制度上は「処分費が最後にまとめて降りかかる」構造にはなっていません。

これから始めても間に合いますか。

地上設置の新規物件を国の買取制度で始められるのは、実質的に2026年度中の認定が最後になります。それ以降は2026年度中に認定を取った物件か、すでに稼働している発電所を買う中古(セカンダリー)が選択肢です。急ぐか中古を検討するかは、費用と利回りを比べて決めてください(いずれも2026年9月時点の制度)。

盗難や災害が心配です。

設備の事故は増えており、盗難による保険金は2022年度が5年前の約20倍という損害保険業界の調査があります。だからこそ、保険料と防犯対策を最初から費用に織り込む前提で見積りを取ることが大切です。対象範囲(自然災害・盗難・機械故障)や免責の条件も確認してください。

結局、買っていいのか悪いのか判断できません。

本文の判断フローの五項目を自分の物件の数字で埋めてみてください。認定年度・実質利回り・出力制御・保険・地域活用要件を確かめ、実質利回りが目標に届かなければ見送り、届けば検討の価値があります。デメリットしかないかどうかは、ネットの声ではなく物件ごとの数字が答えを出します。

参考・出典

  • 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
  • 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見 別紙」 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/114_b01_00.pdf
  • 調達価格等算定委員会 資料1「太陽光発電について」(2026年1月・資源エネルギー庁) https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/110_01_00.pdf
  • 資源エネルギー庁「出力制御について」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/grid/08_syuturyokuseigyo.html
  • 資源エネルギー庁「廃棄等費用積立ガイドライン」(e-Govパブリックコメント版) https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000231850
  • 日本損害保険協会「太陽光発電設備の事故発生状況に関する調査研究結果について」(2024年2月9日) https://www.sonpo.or.jp/news/notice/2023/g34l0i00000013yd-att/240209_01.pdf
  • 総務省「固定資産税の概要」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html
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