卒FIT 後の選択|売る・貯める・使うの損得

\u5352FIT \u5f8c\u306e\u9078\u629e\uff5c\u58f2\u308b\u30fb\u8caf\u3081\u308b\u30fb\u4f7f\u3046\u306e\u640d\u5f97 住宅用・自家消費

本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。

設置から10年が近づいた住宅用太陽光のオーナーから、「このまま売電を続けるのか、蓄電池を足すのか、それとも昼間の使い方を変えるのか、何が一番得なのか分からない」という相談が増えています。固定価格買取(FIT=一定期間・一定単価で電力会社が買い取る制度)の後半に入ると買取単価が大きく下がり、10年で買取期間が満了する「卒FIT」を迎えると、そもそも法律に基づく買取義務がなくなるためです。結論から言えば、判断の軸は「余った1kWhを、いくらで売れるか」と「その1kWhを自分で使えば、いくら分の電気を買わずに済むか」の差にあります。この単価差を先に押さえれば、売る・貯める・使うの3択は数字で比べられます。

3択の損得は「1kWhあたりいくら」で決まる

住宅用(10kW未満)の余った電気には、大きく分けて3つの行き先があります。電力会社や小売事業者に「売る」、蓄電池に「貯める」、家電の使い方を変えて「使う(自家消費する)」です。どれが得かは、それぞれで1kWhあたりの手取りや便益がいくらになるかを並べると見えてきます。

選択 1kWhあたりの手取り/便益 数値の根拠
売る(FIT期間中の余剰・5〜10年目) 8.3円 2026年度 住宅用の5〜10年目の買取価格
売る(卒FIT後・相対の自由契約) 約10円 算定委員会が想定する調達期間終了後の売電価格 10.0円/kWh
使う(自家消費に回す) 27.31円 算定委員会の住宅用 自家消費分の便益(2025年度想定値)

ここで「便益」とは、その1kWhを自分で使うことで電力会社から買わずに済んだ電気代のことです。住宅用の想定では、自家消費した電気は27.31円/kWh分の価値があると見込まれています。一方で余った電気を売った場合の手取りは、FIT後半(5〜10年目)で8.3円、卒FIT後の自由契約でもおよそ10円という水準です。つまり同じ1kWhでも、売るのと使うのとでおよそ3倍の差がつきます。この構造が、卒FIT後は「売る」より「使う」に寄せるほど有利になる根拠です。買取の仕組みそのものについては太陽光投資とは|売電の仕組みと実質で手元に残る利回りで詳しく整理しています。

売る:そのまま売電するという選択

FIT期間中は、住宅用なら1〜4年目が24円、5〜10年目が8.3円(いずれも2026年度)で、余った電気(余剰)が自動的に買い取られます。手続きは不要で、確実に入金される点が「売る」の安心感です。ただし6年目以降は単価が3分の1近くまで下がるため、後半に入ると「売るだけ」の妙味は薄くなります。

10年で買取期間が満了して卒FITを迎えると、電力会社の買取義務そのものがなくなります。住宅用太陽光の買取期間は2019年11月以降、順次満了しており(資源エネルギー庁 2018年9月資料)、満了後は小売電気事業者やアグリゲーター(複数の需要家をまとめる事業者)と相対の自由契約を結んで売る形になります。この場合の売電単価はおおむね10円前後が想定水準で、契約先ごとに条件が異なります。売る選択は手間がかからない反面、単価がこの水準にとどまる点が弱みです。売電先の単価比較そのものは別記事で扱っています。

貯める:蓄電池で自家消費に回す

昼に発電しても、日中は家に人がおらず電気が余りがちです。その余剰を蓄電池にためて夜に使えば、10円で売る代わりに27.31円分の電気を買わずに済みます。単価差だけを見れば、貯めて使うほうが有利です。問題は初期費用です。

家庭用蓄電池を補助金なしで導入する場合、設備費は15〜20万円/kWh、工事費は2万円/kWh程度が標準的な水準です(経済産業省の検討会資料)。仮に10kWhなら、単純計算で170万〜220万円ほどかかります。国は2030年度に工事費込みで7万円/kWh以下という目標を掲げていますが、現時点の実勢はこの水準です。したがって「貯める」を選ぶなら、補助金の活用がほぼ前提になります。

補助金の例として、SII(環境共創イニシアチブ)の令和7年度補正の家庭用蓄電システム支援事業は、補助金基準額3.45万円/kWh・補助率3/10以内・上限60万円/申請です(電力需要をずらすDRへの参加が必須要件)。自治体の上乗せもあり、東京都の令和8年度の家庭用蓄電池事業では蓄電容量あたり10万円/kWh・上限120万円/戸といった助成が用意されています。国と自治体で名目が別なので、併用の可否は各制度の公募要領で確認してください(いずれも2026年9月時点・公式資料で確認)。単価差で回収できるかは、後述の試算で自分の余剰量に当てはめて判断します。

使う:追加費用ゼロで単価差を取りにいく

蓄電池を入れなくても、昼間に電気を使う量を増やせば、その分は27.31円/kWhの便益に変わります。エコキュートや食洗機、洗濯乾燥機のタイマーを昼間の発電が多い時間に寄せる、電気自動車があれば日中に充電する、といった使い方の工夫です。追加費用がかからないため、費用対効果はもっとも高い選択になり得ます。

住宅用の想定では自家消費比率は30%、余剰売電比率は70%とされています。生活パターンを昼型に寄せて自家消費比率を上げるほど、10円で売るはずだった電気が27.31円の便益に置き換わります。まず「使う」で取れる分を取り、それでも余る昼の電気が多いなら「貯める」を検討する、という順番が合理的です。

どれを選ぶ?条件から結論を出す

3択は、次の条件で切り分けると判断しやすくなります。

  1. 昼間に家で電気を使える生活か。在宅時間が長い、または昼に動かせる家電が多いなら、まず「使う」で自家消費比率を上げる。追加費用ゼロで単価差を取れる。
  2. 昼は不在で余剰が多いか。使い切れない余剰が大きく、補助金が使えるなら「貯める(蓄電池)」を検討。補助金なしで170万円超の投資を10円との差額で回収できるかを試算してから決める。
  3. 初期投資を増やしたくない、手間をかけたくないか。その場合は「売る」を続ける。卒FIT後は買取単価が10円前後になる前提で、売電先の条件を比較して選ぶ。

優先順位としては、費用がかからない「使う」を最優先で最大化し、それでも余る分を「貯める」または「売る」に回す、という考え方が損得の面では素直です。

年間の差額を試算する

住宅用の想定値(設備利用率13.7%)で、5kWの設備を例に計算します。年間発電量はおよそ5kW×8,760時間×13.7%=約6,000kWhです。余剰売電比率70%なら約4,200kWhが余剰にあたります。

  • すべて売った場合(卒FIT後・10円):4,200kWh×10円=42,000円/年
  • すべて自家消費に回せた場合(27.31円):4,200kWh×27.31円=約114,700円/年
  • 差額は年間およそ72,700円。ただし現実には余剰すべてを使い切るのは難しく、使える分だけがこの差額に近づく

たとえば工夫と蓄電で余剰のうち1,000kWhを「売る」から「使う」に移せれば、1,000kWh×(27.31円−10円)=約17,300円/年の上乗せになります。蓄電池を補助金なしで入れると170万円超のため、この差額だけでの回収は長期に及びます。補助金でどこまで負担を下げられるかが、「貯める」を選べるかどうかの分かれ目です。数値はいずれも公的な想定値に基づく試算で、実際の発電量や電気料金、契約条件によって変わります(2026年9月時点)。

よくある質問

卒FITになると売電単価はいくらになりますか。

法律に基づく買取義務がなくなり、小売電気事業者やアグリゲーターとの自由契約になります。算定委員会が想定する調達期間終了後の売電価格は10.0円/kWhで、実際の単価は契約先ごとに異なります。単価の比較は売電先おすすめの記事で扱っています。

売るより自家消費が得なのはなぜですか。

売った電気の手取りが10円前後なのに対し、自分で使えば27.31円/kWh分の電気を買わずに済むためです(住宅用の2025年度想定値)。同じ1kWhでもおよそ3倍の差がつくため、使える分を増やすほど有利になります。

蓄電池はいくらかかりますか。

補助金を使わない場合、家庭用は設備費15〜20万円/kWh・工事費2万円/kWh程度が標準的です(経済産業省検討会資料)。10kWhなら単純計算で170万〜220万円ほどで、補助金の活用がほぼ前提になります。

蓄電池の補助金はどのくらい出ますか。

国のSII事業(令和7年度補正)は基準額3.45万円/kWh・補助率3/10以内・上限60万円/申請で、DR参加が必須要件です。自治体の上乗せもあり、東京都は蓄電容量あたり10万円/kWh・上限120万円/戸といった例があります。併用の可否は各制度の公募要領で確認してください(2026年9月時点)。

まず何から手をつければよいですか。

費用がかからない「使う」から始めるのが合理的です。昼に動かせる家電を発電時間帯に寄せて自家消費比率を上げ、それでも余る昼の電気が多い場合に、補助金の可否を含めて「貯める」を検討します。

FIP制度に変えるという選択肢はありますか。

住宅用(10kW未満)は現行制度上FIT制度のみで、FIP(市場連動の交付金制度)は対象外です。FIPは事業用の話になるため、住宅用の卒FIT対策としては「売る・貯める・使う」の3択で考えるのが基本です。

参考・出典

  • 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
  • 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等について 別紙」 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/114_b01_00.pdf
  • 資源エネルギー庁 資料3「住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応」(2018年9月) https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/008_03_00.pdf
  • 経済産業省 定置用蓄電システム普及拡大検討会 資料 https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/storage_system/pdf/20250307_1.pdf
  • 環境共創イニシアチブ(SII)令和7年度補正 家庭用蓄電システム等導入支援事業 公募要領 https://dr-battery.sii.or.jp/r7h/assets/doc/aggregator/R7r_dr_ess_kateiyoukouboyouryou.pdf
  • 東京都 クール・ネット東京「令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業」 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/family_tikudenchi/r8/
タイトルとURLをコピーしました