FIP 蓄電池併設|系統から充電した分の扱い

FIP \u84c4\u96fb\u6c60\u4f75\u8a2d\uff5c\u7cfb\u7d71\u304b\u3089\u5145\u96fb\u3057\u305f\u5206\u306e\u6271\u3044 系統・出力制御

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「既設の太陽光に蓄電池を無償で設置します。あわせてFIP(Feed-in Premium=市場価格に上乗せ〈プレミアム〉を受け取る売電制度)への移行もサポートします」という案内を受けて、判断に迷う人が増えています。蓄電池は太陽光だけでなく系統(電力会社の送配電網)からも充電できるため、「系統から充電した電気を放電して売った分も、FIPの交付金(プレミアム)の対象になるのか」という点が、まず引っかかるところです。

結論から言うと、系統から充電した分は再エネ電気として扱われず、交付金の対象になりません。だからこそ、太陽光由来の充電と系統由来の充電を分けて計量する「区分計量」ができる構成が前提になります。区分計量ができない併設のしかたを選ぶと、放電した電気の一部または全部が交付金の対象から外れるおそれがあります。無償設置やFIP移行サポートの提案を受けたときは、料金や利回りの話に入る前に、この計量のしくみと後述の変更認定の要否を先に確認するのが、失敗を避ける順序です。

系統から充電した電気がFIPの対象にならない理由

屋外蓄電池と太陽光パネル、遠くに電柱、作業員
蓄電池設備の点検作業の様子(イメージ)

FIPは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気を市場で売り、その市場価格に基準価格との差を埋めるプレミアムを上乗せする制度です。支援の対象はあくまで「再エネで発電された電気」であり、系統から引いた電気(火力なども混ざった一般の電力)は再エネ発電設備が生み出したものではありません。

蓄電池は電気を貯めて放電する装置なので、それ自体は電気を「発電」しません。太陽光で発電した電気を貯めて放電すれば、もとは再エネ電気です。一方、系統から充電した電気を貯めて放電しても、もとは再エネ電気ではありません。放電した時点では両者は同じ電気に見えますが、制度上は「どこから充電したか」で扱いが分かれます。だから、放電した電気をそのまま全量交付金の対象にすることは認められていません。

蓄電池に充電した電気の由来 放電して系統へ流したときの制度上の扱い
併設した太陽光からの充電 再エネ電気として交付金の対象になりうる
系統(電力会社の送配電網)からの充電 再エネ電気として扱われず、交付金の対象外

この考え方は、太陽光投資で「実際に手元に残る収入」を見積もるときの土台にもなります。売電の基本的なしくみと、表面利回りと実質利回りの差については太陽光投資とは|売電の仕組みと実質で手元に残る利回りで整理しています。

区分計量とは何を分けて計るのか

区分計量とは、蓄電池に出入りする電気を「太陽光由来」と「系統由来」に分けて記録し、放電のうち再エネ電気に相当する分だけを交付金の対象として算定するための計量のしくみです。太陽光からの充電量、系統からの充電量、放電量をそれぞれ計測できる計量器の構成や、対象量の算定方法が制度で定められています。

ただし、その具体的な計量器の置き方や、放電した電気のうちどの範囲を対象量として算定するかの計算方法は、資源エネルギー庁の再エネ発電設備への蓄電池併設に関する制度資料で確認すべき事項です。本記事の執筆時点では、その一次資料に基づく計算例を確定して示せる段階にありません。数値を用いた算定例は、制度資料の該当箇所を確認したうえで別途補います。

したがって、事業者から「この構成なら系統充電分も含めて売れる」といった説明を受けた場合は、その根拠が制度資料のどこにあるのかを確認してください。区分計量ができない構成では、放電量の全体が対象になるわけではない、という前提で見積もりを読むのが安全です。

既設の太陽光に蓄電池を後から足すときの手順

稼働中の太陽光発電所と蓄電池を点検する作業員
既存設備に蓄電池を後から足す準備(イメージ)

すでに稼働している太陽光に蓄電池を追加する場合、機器を付けて終わりではありません。認定を受けた事業計画の内容を変えることになるため、原則として設備の内容変更に関する手続きが必要です。蓄電池を後から足すときの申請の考え方は、変更認定の手続きとして別に整理しています(ここでは深入りしません)。

あわせてFITからFIPへ移行する場合は、FIP転(FITで認定を受けた設備をFIPへ切り替える手続き)が必要です。申請できる期間や必要書類には決まりがあるため、蓄電池の設置工事と申請のタイミングは、事務手続きを含めて逆算して組む必要があります。設置してから申請の要件に気づくと、想定していた交付が受けられない時期が生じることがあります。

なお、FIP制度が認められる対象は、2026年度は原則として50kW以上の設備です(事業用太陽光は一定の条件を満たせば50kW未満でもFIPを選べます)。既設設備の規模と区分によって、そもそもFIPを選べるかどうかが変わる点も、移行を検討する前段で確認しておく項目です(2026年9月時点)。

併設を決める前に確認する判断フロー

無償設置やFIP移行サポートの提案を受けたときは、次の順で条件を確認すると、制度上の落とし穴を先につぶせます。

  1. 区分計量ができる構成か。太陽光由来の充電と系統由来の充電を分けて計れる計量器の構成になっているか。分けられないなら、放電分がそのまま交付金の対象になるとは考えない。
  2. 系統からの充電を行う運用か。系統充電を前提にした運用なら、その分は交付金の対象外である前提で収支を見積もる。太陽光の余剰だけを充電する運用なら、対象量の考え方は比較的単純になる。
  3. 変更認定・FIP転の手続きと期間。既設に足す場合の設備変更の手続きと、FIPへ移行する場合の申請期間を、工事日程とあわせて逆算する。
  4. 規模と区分でFIPを選べるか。設備の出力区分がFIPの対象に当たるかを確認する。
  5. 収益が上がるかは別問題。制度上併設できることと、投資として収益が改善することは別です。蓄電池の費用対効果そのものは、収益面の検討として切り分けて判断する。

この記事で扱っているのは主に「制度上の計量の扱い」です。系統充電分が対象外になるという一点を押さえておくと、事業者の説明を鵜呑みにせず、根拠を確認しながら判断できます。

出力制御と併設蓄電池の関係

大型蓄電池と太陽光パネル、点検する作業員
蓄電池と太陽光発電の接続点(イメージ)

系統・出力制御の観点でも、蓄電池は関心を集めています。太陽光は優先給電ルール(電気の需給を合わせるための出力を止める順番の取り決め)のなかで、火力の抑制や揚水くみ上げなどのあとに抑制の対象になります。2021年4月以降は東京・中部・関西を含む全エリアで無制限・無補償ルール(年間の上限なく、補償なしで出力制御に応じる取り決め)が適用され、2022年4月からはオンライン代理制御(経済的出力制御)が導入されています。

制御で売れなかった時間帯の電気を蓄電池に貯めて後で放電する、という発想はありますが、その放電分を交付金の対象としてどう扱うかは、やはり充電の由来と区分計量の考え方に戻ります。蓄電池を「制御対策」として位置づける場合も、系統から充電した分は対象外という原則は変わりません。

よくある質問

系統から充電して放電した電気は、まったく売れないのですか

売電そのものが禁止されるという意味ではありません。制度上、系統充電分は再エネ電気として扱われないため、FIPの交付金(プレミアム)の対象にならない、ということです。市場での取引の扱いや対象量の具体的な算定は、制度資料で確認すべき事項です。

太陽光の余剰だけを充電する運用でも区分計量は必要ですか

系統から充電しない運用であっても、それを計量のうえで示せる構成が求められます。太陽光由来だけを充電していることを計量で裏づけられるかが論点になるため、計量器の構成は事前に確認してください。

「無償設置」の提案はそのまま受けてよいのですか

無償という条件だけで判断せず、区分計量ができる構成か、変更認定やFIP転の手続きが含まれているか、系統充電を前提にした運用かを確認してください。制度上の前提が満たされないと、想定した交付が受けられないことがあります。

既設の太陽光に足す場合、何の手続きが要りますか

認定を受けた事業計画の内容を変えることになるため、設備変更の手続きが原則必要です。FITからFIPへ移す場合はFIP転の申請も必要で、申請できる期間や書類が決まっています。工事と申請のタイミングを逆算して組んでください。

50kW未満でも蓄電池を併設してFIPにできますか

2026年度はFIPが認められる対象が原則50kW以上ですが、事業用太陽光は一定の条件を満たせば50kW未満でもFIPを選べる場合があります。設備の区分によって選択肢が変わるため、規模と区分を先に確認してください(2026年9月時点)。

収益が上がるかどうかはこの記事で分かりますか

本記事は制度上の計量の扱いを整理したものです。蓄電池を併設して投資として収益が改善するかは別の論点で、費用対効果として切り分けて検討する必要があります。

参考・出典

  • 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
  • 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等について 別紙」 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/114_b01_00.pdf
  • 資源エネルギー庁「出力制御について」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/grid/08_syuturyokuseigyo.html
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