太陽光 出力制御|無補償ルールで売電はどれだけ減る

\u592a\u967d\u5149 \u51fa\u529b\u5236\u5fa1\uff5c\u7121\u88dc\u511f\u30eb\u30fc\u30eb\u3067\u58f2\u96fb\u306f\u3069\u308c\u3060\u3051\u6e1b\u308b 系統・出力制御

本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。

気に入った低圧物件が見つかり、表面利回りも希望どおり。ところが連系先のエリアを調べると「無制限・無補償で出力制御の対象」と書かれていて、想定した売電収入をそのまま信じてよいのか判断が止まっている。こうした場面で見落とされがちなのが、発電所が建つ「場所」によって売電量が構造的に削られるという点です。パネルの性能でも業者の腕でもなく、そのエリアの電力需給と送電網の空き具合で決まるため、後から変えることができません。

結論から言えば、判断の基準は二つです。第一に、その物件のエリアが出力制御をどの程度実施してきたか(各一般送配電事業者=旧・電力会社の送配電部門が公表する実績)を、契約前に必ず確認すること。第二に、抑制されても収支が崩れない単価と価格でその物件を買えているかを、抑制率を数パターン当てはめて試算することです。制度は2021年4月以降、全エリアで「無制限・無補償」に統一されており、抑制をゼロにする手段は基本的にありません。前提として織り込むしかない費用と捉え、影響の大きさで物件を選別するのが現実的な向き合い方です。

出力制御とは何か|需給バランスと送電容量の二つの制約

晴天の日本で広がる太陽光発電所と送電鉄塔
広がる太陽光パネルの風景(イメージ)

出力制御(出力抑制とも呼ぶ)とは、電気の需要と供給のバランスを保つために、一般送配電事業者が発電設備の出力を一時的に絞る仕組みです。電気は貯めておくことが難しく、需要と供給が常に一致していないと周波数が乱れて大規模停電につながります。そのため供給が需要を上回りそうなときは、どこかの発電を止める必要があります。

制約には二種類あります。一つは需給バランス制約で、晴天の休日など需要が少なく太陽光の発電が多い時間帯に、供給過多を避けるために行われます。もう一つは送電容量制約で、送電線の空き容量を超えて電気を流せないために行われます。どちらの理由でも、発電所側から見れば「発電できるのに止められる=売れない」時間が生じます。

止められる順番(優先給電ルール)

誰から止めるかには順番が決まっています。優先給電ルールでは、まず火力発電の出力を抑制し、次に揚水発電のくみ上げ(余った電気で水を汲み上げて貯める)、地域間連系線を使った他エリアへの送電、バイオマスの抑制、と進み、そのうえで太陽光・風力が抑制されます。最後まで残るのが水力・原子力・地熱といった長期固定電源です。太陽光は火力より後、長期固定電源より先に止められる位置づけであり、他の手段を使い切ってもなお供給が多いときに順番が回ってくる、と理解しておくと制度の全体像がつかめます。

2021年4月からの無制限・無補償ルールで何が変わったか

かつては「30日等出力制御枠」という考え方があり、太陽光は年間30日(時間換算で360時間、風力は720時間)までは無補償で制御に応じる義務があり、それを超える分には補償があり得るという枠組みでした。エリアによっては、この枠を超えた場合の扱いを事前に約束しない「指定電気事業者制度」もあり、地域ごとにルールが分かれていました。

この指定電気事業者制度は廃止され、2021年4月以降は、東京・中部・関西を含む全エリアで「無制限・無補償ルール」に統一されました。つまり、出力制御に日数や時間の上限はなく、制御された分の売電機会に対する補償も原則ありません。あわせて、旧ルールでは対象外だった500kW未満の太陽光も出力制御の実施対象に広がりました。10kW未満(住宅用など)は当面対象外とされています(複数の太陽光発電設備を設置する事業を除く)。

この統一が投資判断に効くのは、「抑制されても補償される」という前提が使えなくなったからです。抑制の頻度がそのまま売電収入の目減りに直結するため、エリア選定の重みが以前より格段に大きくなりました。

出力制御で売電はどれだけ減るのか(計算例)

太陽光発電所の屋外制御盤
太陽光発電所の運用を司る設備(イメージ)

影響の大きさは、抑制される割合(抑制率)を売電収入に掛けるだけで概算できます。ここでは地上設置・低圧50kWのモデルで試算します。設備利用率は算定委員会の想定値である21.3%(地上10kW以上50kW未満、2025年度想定を2026年度も据え置き)、単価は2026年度の事業用(地上10kW以上50kW未満)FIT調達価格9.9円/kWh(税抜)を使います。

  • 年間発電量の目安 = 50kW × 8,760時間 × 21.3% = 約93,000kWh
  • 年間売電収入(抑制なし)= 約93,000kWh × 9.9円 = 約92万円

ここに抑制率を当てはめると、次のように売電収入が削られます。抑制率はエリアや年で変わる値のため、下表の数値はあくまで感応度(どれだけ効くか)を見るための仮定です。

抑制率(仮定) 減る売電収入(年) 手取り売電収入(年)
3% 約2.8万円 約89万円
5% 約4.6万円 約87万円
10% 約9.2万円 約83万円

抑制率が数%動くだけで年数万円単位の差が出て、20年間では数十万円から百万円超の差に積み上がります。実際の抑制率は各一般送配電事業者が公表しており、エリア差が大きいのが実情です。物件検討時は、その連系エリアの直近数年の実績を必ず取り寄せ、上表のように複数の抑制率で試算してから購入判断をすることをおすすめします。利回りの表面と実質の差がどこで生まれるかは、太陽光投資とは|売電の仕組みと実質で手元に残る利回りで全体像を確認できます。

オンライン代理制御とオフラインの差

2022年4月からはオンライン代理制御(経済的出力制御)が導入されました。これは、遠隔で出力を制御できる(オンライン)発電所と、できない(オフライン)発電所の間で、実際の制御と経済的な負担を切り離す仕組みです。

実際に出力を絞られるのは、遠隔制御に対応したオンラインの発電所です。その代わり、オンライン制御事業者には「みなし発電量(制御されなければ発電できたはずの量)×FIT買取価格」が代理制御の対価として支払われます。一方、実際には止められなかったオフラインの発電所は、本来自分が制御されるはずだった発電量に相当する分を、精算のときに差し引かれます。つまりオフラインの発電所も、物理的に発電を続けられても、その分の収入は最終的に減らされる建て付けです。

この仕組みにより、遠隔制御に対応しているかどうかで理不尽な有利・不利が生じないよう調整されています。入金額と本来の売電額にズレが生じるため、会計上の処理(代理制御調整金の扱い)が必要になる点は、運用段階で押さえておくべきポイントです。

エリアで投資判断が変わる|確認と判断のフロー

田園地帯でタブレットを見る人物と遠くの太陽光発電所
エリアの情報を確認する様子(イメージ)

出力制御は物件固有ではなくエリア固有のリスクなので、次の順で確認すると判断がぶれません。

  1. 連系先エリアの直近実績を取る:その一般送配電事業者が公表する年間の出力制御率(実績)を数年分確認する。
  2. 抑制率を織り込んで実質利回りを引き直す:上の計算例のように、実績+やや厳しめの抑制率で売電収入を割り引き、それでも狙う利回りが残るかを見る。
  3. 単価と価格でクッションがあるか:抑制で削られても、単価が高い、または取得価格が抑えられている物件は耐性が高い。
  4. 抑制の耐性が低いと判断したら見送る:エリアの抑制が重く、価格でも吸収できないなら、無理に買わず別エリアや別物件を検討する。

「抑制されても回る単価・価格で買えているか」を最後の関門にすると、エリア差に振り回されずに済みます。抑制をゼロにする方法を探すより、抑制を前提に選別する発想が、無制限・無補償ルール下では有効です。

よくある質問

出力制御されても補償は一切ないのですか

2021年4月以降の無制限・無補償ルールでは、制御された売電機会に対する補償は原則ありません。日数や時間の上限もないため、抑制分はそのまま売電収入の減少になります。制度の前提として織り込む必要があります。

10kW未満の住宅用も出力制御の対象ですか

10kW未満は当面、出力制御の対象外とされています(複数の太陽光発電設備を設置する事業に該当する場合を除く)。一方で、旧ルールでは対象外だった500kW未満の事業用太陽光は対象に拡大されています。

オンライン制御に対応すると得なのですか

オンライン制御事業者には「みなし発電量×FIT買取価格」が代理制御の対価として支払われる一方、実際には制御されなかったオフライン事業者も精算で相当分が差し引かれます。有利・不利が偏らないよう調整されているため、対応の有無だけで収支が大きく変わるわけではありません。

どのエリアが抑制が多いのですか

抑制率はエリアと年で差があり、各一般送配電事業者が実績を公表しています。契約前に連系先の直近実績を取り寄せて確認することをおすすめします。

蓄電池を付ければ出力制御を避けられますか

抑制時間帯に発電分を貯めて別の時間に使う・売るという方向はありますが、収益改善につながるかは前提次第で、本記事の確認データだけでは断定できません。蓄電池併設の収支は別途、費用と効果を分けて検討する必要があります。

FIPでも出力制御はありますか

出力制御はFIT・FIPを問わず系統運用上の措置として行われます。FIPは市場価格に連動する制度で、抑制時間帯の扱いは固定買取のFITと収益の考え方が異なります。制度選択の詳細は別途確認してください。

代理制御調整金とは何ですか

オンライン代理制御に伴い、実際の売電額と入金額のズレを精算するための調整分です。入金額と本来の売電額が一致しないため、運用時は仕訳など会計上の扱いに注意が必要です。

参考・出典

  • 資源エネルギー庁「出力制御について」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/grid/08_syuturyokuseigyo.html
  • 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
  • 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」別紙 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/114_b01_00.pdf
  • 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20260205_1.pdf
タイトルとURLをコピーしました